
政治・軍事関連
安全は酸素に例えられる。酸素が無くなって初めて私たちはそのことに気づく。東アジアにおける米国の安全保障のプレゼンスは、過去30年以上もの間、東アジアの空前の経済発展のためのゆとりを与えてきた。日米安全保障条約の傘の下、日本は外部からの攻撃や抑圧を受けずに経済発展を遂げることができた。日米両国はこの平和的に発展してきたアジア経済から恩恵を受けている。日米両国とアジアの貿易総額は年間93兆円にのぼり、両国の同地域への投資総額は90兆円にのぼる。世界経済に占めるアジア太平洋地域の割合は現在1/4であり、私達の生存中に1/2を占めることになると思われる。沖縄は海兵隊遠征軍や米空軍における最大の混成航空団を含む2万5千人以上の兵を受け入れ、東アジアにおける平和と安定の推進という両国の努力において、きわめて重大な役割を果たしている。
日米安全保障条約で成文化されているように、駐日米軍は、日本の防衛とこの地域の平和と安定を維持する責任がある。冷戦の間は抑圧されていた地域紛争と民族紛争が噴出し、それに大量破壊兵器の拡散のによってこのような地域紛争が一層危険になっている。アジアは、欧州と異なり、地域の安全保障を担う共同防衛機構を持っていない。欧州は米軍削減の折に北大西洋条約機構(NATO)を拡大することができた。しかし、アジアにおいては米軍の縮小は空白を引き起こす。現在、唯一機動力があり、自己完結的な混成軍である第3海兵隊遠征軍の前方展開を含むアジアに配備された10万の米軍によって米国の様々な二国間安全保障協定は支えられているが、それに取って代わる選択肢はいまのところない。
冷戦の終りはアジアにおける面と向かった軍事対立を終了させるには至らなかった。朝鮮半島は2つの重武装した陣営に分断されたままである。中国の軍事拡大は、その意図が不透明なために、不安定な不確実性を引き起こしている。私達の長期的希望は、成長を続ける中国の市場経済がゆくゆくは民主化を伴うことになるということである。しかし、これまでのところは、そうはなってない。この地域の共同防衛機構か信頼できる米国の軍事駐留のいずれかがなければ、中国とその周辺諸国間の力の不均衡が心配の種になると思われる。
アジア太平洋地域の広大な距離は、軍事戦略家が言ういわゆる「過酷な距離」を克服するために莫大な資源と時間が必要である。那覇は、東京よりマニラや上海に近く、北海道よりハノイに近い。他に、このように多くの地域に距離的に近い場所はない。この場所以外に、米軍がこの地域の安定確保という重要な役割を果たすことを可能とする場所はない。米軍は、攻撃に対する重要な抑止力を担っており、さらに、年間平均約70回の県外における軍隊間の交流、合同共同演習、さらに、合同共同人道的救援活動を通して地域での信頼醸成のために積極的に従事している。(太平洋総司令部ホームページ) 在沖米軍は、アジアにおける同盟国と友人に対する米国の安全保障の責務を実体あるものにしている。用意周到さを維持することで、在沖米軍は攻撃に対して信頼できる抑止力の態勢をとり、それによって紛争への可能性を抑制している。
アジアにおける地域の安全保障と繁栄を維持するために沖縄が果たす重要な役割は、2004年10月の同盟関係の変革と再編(ATARA)と2005年5月のATARA実施計画において、大きく取り上げられた。ATARAの包括的な目的は二つで、脅威を阻止しそれに対応するための日米の能力を向上させることと、米軍基地が所在する地域の人々への悪影響を軽減することである。
ミサイル防衛システムは抑止力を向上させるための計画の一部である。日米両国は日本に対するミサイル脅威の可能性があることを認識し、日本でこの課題に対応するためにいくつかの重要な措置をとっている。最初の措置は、すでに沖縄でとられており、PAC3の機能を持つ第1防空砲兵連隊第1大隊が嘉手納基地に配備された。抑止力の追加措置として計画されているのが、Xバンド・レーダーの日本北部への配備とイージスBMDが使用可能な米艦船シャイロの横須賀への配備、航空自衛隊航空防衛司令部と第五空軍の連結と二国間共同運営調整センターの横田航空基地への設立、そして、新しい標準迎撃ミサイルの共同開発への合意が含まれる。
日米両国は、更にATARAで計画している3つの主要な在沖米軍の足跡の削減を実行するための作業をしている。1つ目は、海兵隊の普天間航空基地を都市部の宜野湾市から名護市の田園部であるキャンプ・シュワブへ移設することである。2つ目は、海兵隊の一部を沖縄からグアムへ移すことである。三つ目は、高価値の土地を返還し地元が活用できるようにするために、人口密度が高い本島中南部の米軍施設を北部にある既存施設に整理統合することである。両国政府は、普天間航空基地の代替施設の完成目標を2014年に設定した。日米両政府の協定書に記述された内容に加えて、沖縄に駐留する米軍は『良き隣人』であることに努力を払っている。米軍基地は、沖縄で2番目に大きな雇用者であり、年間30億ドル以上も地域経済に貢献しており、これは、県民1人当たり年間3千ドルにのぼる。しかし、基地の最も価値のある資産は、その技術や情熱を基地の外での広範囲にわたる慈善活動に奉仕する基地内の住民である。これら軍人・軍属とその家族は、沖縄の学校で英語を教えたりビーチや公園の清掃、児童擁護施設や老人ホームでの奉仕活動をしたり、日本で最大の障害児のためのスペシャルオリンピックの主催をする等、あらゆるボランティア活動をしている。軍の環境保護提唱者や考古学者は、沖縄の仲間と共に環境をよくし、文化財を保護するより良い方法を探すべく取り組んでいる。基地内大学は、沖縄の生徒にその門戸を開き、海軍病院は、地域の医師に先端技術の病院実習の機会を与えている。
沖縄および中央政府の関係者さらに市民団体と一緒になって、米軍は沖縄における社会生活の向上に向けた新しい方法の模索を絶えず行っている。軍に関係する訓練中の事件や犯罪に関しては、2004年と2005年の米軍基地関係者のかかわった事件は減少している。これは米国内に駐留する同様な部隊と比較しても少なく、また、若年者が圧倒的多数をしめる軍の構成にも関わらず、沖縄の一般社会における犯罪発生率の半分以下である。
在沖米国総領事館は米軍と緊密かつ広範な絆を持っている。軍構成員の大部分を占める海兵隊と空軍を含む4軍全てが、沖縄に駐留している。3軍から合計8人の司令官が、沖縄での任務についている。総領事は、在沖米国軍高官、特に最高位にある第3海兵隊遠征軍総司令官で沖縄地区4軍調整官(OAC)との緊密な協力関係を維持している。総領事は、4軍調整官が議長を務める沖縄地区調整委員会(OACC)の職権上の委員である。他のOACCの委員は、陸軍第10支援軍司令官、嘉手納空軍基地空軍第18航空団司令官、在沖米海軍艦隊活動司令官、ならびに在日海兵隊基地司令官である。


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